日日是好日

「これ、いいなぁ」「今日はよかったなぁ」「ふ〜ん、そうなんだぁ」「おもしろいなぁ」って思ったことを素直に綴ります。

寒いのに

今晩は、風が強くて、冷たい雨がパチパチ吹き付け、髪は蛇女みたいにバサバサになった。強風に、折り畳み傘がおちょこになってしまい、よろけながら傘を閉じ、濡れながら駅まで走った。

 

電車に乗り、ボックス席の通路側に腰掛けた。通路を挟んで左斜め前向かい側に、コーンアイスをなめながら、おかっぱ頭の30代ぐらいの男の人が座った。しばらくすると、シャクシャクぴちゅぴちゅと音がし始めた。盗み見ると、遠く一点を見ながら、コーン部分を食べては底にたまったアイスを吸っていた。目が合ってはならないと思い、目をつぶった。

幸い、3つ目の駅に止まった時、おかっぱ頭さんは降りて行き、ほっとした。

 

車両の前方から、半袖半ズボンでメガネをかけた短髪でぽっちゃりした小学5年生ぐらいの男の子が通路を通り過ぎて行った。

 

先月、凍てつく寒い夜、ウールのコートや厚手のジャンパーやダウン姿の大人や高校生しかいない混んだホームで、汗ばんだ半袖半ズボン姿のあの子が、たった一人で電車を待っていたのを発見した時は、何度も何度も見直した。

 

厚着で寒そうな大人の集団の中に、薄着で暑そうな子供が一人いる!しかしまわりの大人を見ると、この不思議な彼を誰も見ていない。誰の視線の中にも彼は止まっていなかった。何度もそっと彼を見直しているのは私一人だった。

 

その彼にまた会うことができたことに、わくわくした。彼は幻ではなかった。今日も彼からは湯上りのような湯気が出ているように見えた。オーラのようだ。そしてまわりの誰も彼を見ていない。

 

今日もあの日ほどではないが結構寒い。本当に半袖半ズボンで寒くないの?おうちまでどうやって帰るの?お母さんは駅まで迎えに来てくれるの?なぜ誰も彼を視界にとどめないの?いくらでも疑問が湧いくるんだけどなぁ。