腹黒い玉子焼き
結婚23年目のお弁当は、肩の力を抜いて続けている。
今日は銀ダラの粕漬け、じゃがいもとピーマンのバター炒め、ブロッコリーとコーンのマヨネーズ和え、玉子焼き
玉子焼きは、卵さんのコンディションにより、薄い黄色になったり、綺麗な黄色になったりする。卵さんに罪はなくて、母鶏が食べている餌によって卵黄の色が異なってくるだけのことなのだが…
卵黄が薄い黄色だと、いくら張り切って焼いてもいい色にならなくて、お弁当全体が地味な色合いになってしまい、ガッカリしてしまう。
お弁当には、味とともに色も大事なのだ。
でも、今日の卵さんのコンディションは良かった。黄色く、明るい色に焼けた。家族の笑顔が見えるようだ。
絵皿の猫さんも幸せそうだ。
でもこの話には裏がある
卵焼きを裏返すと、ほら。
絵皿の猫さんの表情が曇って見える。
卵焼きを焼きながら夫と地震の話をしていて、ちょっと話に夢中になってしまい…
はっと気がついたら裏側全体が真っ黒になっていた。
表が鮮やかな黄色なだけに裏側の真っ黒が際立つ感じの、腹黒い卵焼きになっていた。
でも結婚23年目ともなると、慌てない。
綺麗な表面だけ見えるように詰めてホッ…。
このホッ…も、表情には出さない。
腹黒いのは卵焼きではなく、私だな。